旧香港歴史博物館のスライドショー

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 かつて、香港歴史博物館は九龍公園の中にありました。

 尖沙咀東に移転した現在の歴史博物館とは比べ物にならぬくらいに小さな博物館でしたが、この旧博物館でも、香港の歴史を展示物によって時系列でたどることができました。

 博物館の中を順路を進んでいくと、最後の最後のほうで、戦後から現代までの香港の軌跡をたどるスライドショーがありました。スライドといってもテンポがよくBGMや時おり効果的に音声も入り、また画面も3面スクリーンでなかなか見ごたえがありました。

 香港の街の人々の暮らし、苦難、発展をテーマにして、当時の写真で構成したこのスライドショーは、なかなか感動の内容でした。

 そのときにバックに流れたのが羅文の『獅子山下』です。

 YouTubeで、このスライドショーの雰囲気になんとなく似た映像の付いた『獅子山下』を見つけました。時代が違うので鳥インフルエンザのことが出てきたりしてスライドショーとは中身がかなり異なりますが、紹介しておきます。

 

 博物館のスライドでは、最後に『凝聚毎分光』という曲が流れます。アニタ・ムイ、アラン・タム、サミュエル・ホイなど大物歌手が参加したRTHKのキャンペーン曲です。同じくYouTubeに、スライドショーに似た雰囲気の映像の付いたものを見つけました。これも香港返還時の映像があるので時代は異なりますが、上の『獅子山下』よりこちらのほうがスライドショーの内容に近いです。

 

 博物館のスライドショーは、この曲が最後に流れ、さらにその一番最後に、香港人は皆家族といった感じで親子3代が並ぶ大家族の笑顔の肖像写真が画面に映し出され、そこで終わります。

 私はこのスライドショーを見て、毎度、この曲の最後の「This is our home, This is our place, This is our dream, We love Hong Kong」 のフレーズがかかるところで恥ずかしながら涙が出てしまいました。知人にそのことを言ったら、「アナタは香港人か?」と笑われましたが、とにかく、このスライドショーを見るとダメでした。誰しにもツボにはまった映画というのがあるかと思いますが、それと同じで、私はいつもこのスライドショーの最後のところでなぜかスイッチが入ってしまい、何度見ても涙が目に浮かぶのでした。

 私は香港に行くたびにこのスライドショーを見るために歴史博物館に足を運び、ほかの展示物は全部スルーして最後のスライドショーだけ何度も見ました。

 まだタワーレコードやHMVがなかった(と記憶しています)ので油麻地周辺のCDショップに行き、羅文の『獅子山下』の入ったCDはなんとか手に入れましたが、スライドショーの最後に流れる音楽は題名が分からずどうしていいか迷いました。以前、私は曲名を知らなかった中国のマーチ『三大規律八項注意』のメロディを、香港のCDショップの店員さんの前で口にしてCDを手に入れたことがあるのですが、店員さんの前で「We love Hong Kong~♪」と歌う勇気はありませんでした。

 そこでスライドショーをビデオカメラに撮り、それを持ってCDショップに行き、イヤホンで店員さんに曲を聞いてもらいました。すると、しばらく黙って聴いていた店員さんの顔がぱっと明るくなり「ああ、これね!」という感じで1枚のCDを出してきてくれ、やっと手に入れることができました。

YouTube 『凝聚毎分光』(歌手と歌詞が見られます。画像は粗いです)
http://jp.youtube.com/watch?v=8By2Q585T2I&feature=related


 その後尖沙咀東に移転した現在の香港歴史博物館でも、戦後の香港を映像で見るコーナーがあります。その映像はスライドからビデオに変わり、それを見るための席は映画館のようにひな壇に並び豪華になりました。ビデオの内容はかつてのスライドショーとテーマは同じで『獅子山下』も流れなかなか感動的なのですが、私はいまでも九龍公園にあった小さな歴史博物館のスライドショーをときおり思い出します。

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このページは、学芸員Kが2008年4月13日 07:26に書いた記事です。

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